「えび千両ちらし」は新潟駅を代表する名物駅弁の一つです。製造・販売元は新潟の老舗駅弁屋「新発田三新軒」で、2002年にJR東日本の「大人の休日」企画で誕生しました。甘さ控えめの酢飯の上に甘い厚焼き玉子を敷き、その下にはうなぎやいか、こはだ、蒸し海老など豪華な具材が隠れています。隠された具材をめくりながら味わう楽しさとボリューム感が、多くの駅弁ファンを魅了してきました。
新潟駅弁「えび千両ちらし」とは?
「えび千両ちらし」は新潟駅から発売されている海鮮系の寿司駅弁で、新潟県産米を使った酢飯の上に具材を散りばめたチラシ寿司です。名前の「えび」は海老、「千両」は江戸時代の金貨である小判を意味し、厚焼き玉子が金色の小判のように見えることから名付けられました。箱を開けるとまず黄色い厚焼き玉子が目に入り、その下に豪華な具材が隠れているサプライズ感が最大の特徴です。
JR「大人の休日」で誕生した駅弁
えび千両ちらしはJR東日本が企画した「大人の休日」キャンペーン(シニア層向けの旅行提案)から誕生しました。当時、新発田三新軒はこのキャンペーン用に開発された15種類の駅弁の一つとして発売し、2002年春から販売を開始しました。発売当初は特別な反響はなかったものの、その独特のビジュアルと味わいが徐々に口コミで広がり、新潟駅だけでなく他地域でも人気が高まりました。
製造元「新発田三新軒」のこだわり
製造元の新発田三新軒は新潟県を中心に駅弁を手がけてきた老舗メーカーです。配合にも工夫があり、酢飯には新潟産コシヒカリをブレンドして使い、程よい粘りと香りを両立させています。調理工程も手作業が主で、いかの一夜干し仕込みや具材の配置にも丁寧なこだわりがあります。パッケージには絵葉書が埋め込まれており、ふたを開ければ具材一覧のお品書きと味わい方の解説が現れる演出も好評です。
駅弁名の由来と遊び心
駅弁名の「千両」は江戸時代の金貨である天保小判の名称で、金貨がいっぱい詰まった宝箱のような楽しさをイメージしています。実際に厚焼き玉子は小判が敷き詰められたように配置され、食べ進めるとその下から海老やうなぎなど宝石のような具材が現れます。隠された具材はお客様への“遊び心”として企画されており、メニュー写真では玉子焼きしか写せないことも逆に話題になっています。
誕生から大ヒットへ:えび千両ちらしの歴史

えび千両ちらしは登場からしばらくは地元の小さな駅弁売店で細々と販売されていましたが、2009年ごろテレビ番組で紹介されて一気に注目を集めました。その後も全国の駅弁大会や催事で常連となり、2017年にはJR東日本エリアの駅弁人気投票「駅弁味の陣」でグランプリを獲得。以降は新潟県内にとどまらず、東京都内の駅弁屋や全国の物産展などでも定番商品として扱われるようになりました。
メディア紹介で人気爆発
発売当初は目立った宣伝がされていませんでしたが、テレビ番組や雑誌で取り上げられるとうわさが広がりました。特に関東地方の番組で「全国一位に選ばれた駅弁」として紹介されたことがあり、それ以降は東京駅・上野駅の駅弁屋でも販売されるなど、首都圏でも入手できるようになりました。SNSでもそのビジュアルが話題となり、一度は品切れになるほどの人気を博しています。
駅弁大会でグランプリ獲得
えび千両ちらしは駅弁大会でも高い評価を受けてきました。2017年の「駅弁味の陣」では全国の海鮮駅弁で1位を獲得するなど、船上コンテストでも存在感を示しています。こうした受賞歴やイベント出店を通じて、「東日本エリアを代表する海鮮駅弁」としての地位を確立しました。近年では駅弁のグランプリ番組や百貨店の駅弁フェアでも常連扱いされており、その名は全国区になっています。
全国展開とファンの声
現在、えび千両ちらしは新潟駅以外にも、東京駅構内の駅弁屋「駅弁屋祭」をはじめ、上野駅や駅弁大会などの催事で販売されています。人気のため入荷は限られており、特に土日や連休は午前中の売り切れが珍しくありません。また公式SNSではイベント情報が告知されることが多く、ファンは事前にチェックして確実に入手する人が多く見られます。旅行者だけでなく地元の鉄道ファンにとっても定番の一品として愛されています。
えび千両ちらしの具材と味わい

えび千両ちらしは材料にも徹底したこだわりがあります。酢飯には新潟産のコシヒカリとコシイブキをブレンドしており、どちらか一方だけでは出せない絶妙の粘りと味わいになっています。その酢飯の上には昆布を敷いてうま味をプラスし、上質なすし飯が出来上がります。
こだわりの酢飯と昆布
新発田三新軒では、コシヒカリだけだとねばりが強すぎて酢飯としては単調になるため、あっさりめのコシイブキと半々でブレンドしています。寿司酢も控えめで米の甘みを引き立て、具材との一体感を生む設計です。さらに、酢飯の上に一夜干しの昆布(おぼろ昆布)を重ねることで、米と具材にコクを与えています。
厚焼き玉子に隠れた具材
見た目の主役である甘い厚焼き玉子は、実は複層仕立ての仕掛けです。玉子焼きの表面には細かく刻んだ海老そぼろが散らしてあり、ひと口目からぷりぷりした海老の風味を感じます。さらに厚焼き玉子をめくると、その下に鰻の蒲焼き、いかの一夜干し、小鰭(こはだ)の酢締め、蒸し海老が隙間なく並べられています。これらはすべて手作業で丁寧に仕込まれており、食べ進めるたびに異なる味わいが楽しめます。
豪華海鮮具材の食感と風味
えび千両ちらしに入っている具材はどれも一級品です。鰻の蒲焼きは甘辛いタレでしっかりと味を染み込ませ、ふっくら香ばしい仕上がり。コハダは酸味と塩味のバランスが良く、玉子や酢飯の甘さを引き締めます。イカは柔らかく一夜干しの旨味が凝縮されており、むき海老は蒸し器でプリッと仕上げられて甘みがあります。これらの具材が酢飯と混ざり合うことで、一口ごとに異なる食感と味が楽しめるのが魅力です。
えび千両ちらしの価格と販売場所
えび千両ちらしはその豪華さから比較的高価格帯の駅弁に位置します。過去の価格推移を見ると、2018年頃は1,350円ほどでしたが徐々に値上がりし、2022年には約1,500円、最新では1,580円程度になっています(販売場所によって多少前後します)。値段が上がってもリピーターは多く、納得のいく味とボリュームを提供していると言えます。
現在の価格と推移
最新情報によると、えび千両ちらしの定価は1,500円台中盤になっています。製造元の三新軒は価格改定のたびにお品書きに明記するなど価格設定を透明にしており、数年おきに数十円ずつ値上がりしてきました。なお、駅弁大会や百貨店の催事などで販売される場合は別途手数料が加算されることが多いため、その際は駅売り価格より高めになることもあります。
新潟駅を中心とした販売場所
えび千両ちらしは新潟駅構内の駅弁売り場で購入するのが最も確実です。特に新潟駅の改札内(東口)にある駅弁屋は毎日開店直後から賑わうことが多く、午前中~昼前には完売することも珍しくありません。また、製造元の本拠地である新発田駅や新潟空港の売店でも限定的に取り扱われることがありますが、常時入荷されるわけではないので注意が必要です。確実に入手したい場合は新潟駅の売店を狙い、早めに購入するのが鉄則です。
東京駅やイベントでの販売情報
首都圏では東京駅構内の駅弁屋「祭」をはじめ、定期的に入荷されています。ただし入荷は不定期で少量なのですぐ売り切れる傾向があります。一般的には午前10時前後に商品が届き、正午前には完売というケースが多いので、確実に買いたい場合は開店直後の訪問がおすすめです。さらに全国の物産展や駅弁大会では新潟フェアなどの催事で登場することがあり、特に新宿京王百貨店の駅弁大会では毎年早々に売り切れる人気ぶりです。こうした情報は新発田三新軒や百貨店の公式SNSで告知されることが多いので、気になる方は事前にチェックしておくと安心です。
えび千両ちらしが人気の理由

えび千両ちらしがこれほど長く愛されている理由は、味の良さだけでなく「楽しい仕掛け」にあります。まず視覚的なインパクトが抜群で、黄色い玉子焼きの下から豪華な具材が出てくるサプライズは食べ手をワクワクさせます。またそれぞれの具材がしっかり下ごしらえされており、食べ始めから最後まで飽きることなく海の幸の味覚を堪能できます。さらに、テレビやSNSで取り上げられる機会が多く、「映える駅弁」として口コミで広がったことも人気を後押ししています。
隠し具材がもたらす遊び心
えび千両ちらしの最大の魅力は、なんといっても厚焼き玉子で具材を見えなくした遊び心です。購入した時点では中身が分からず、「何が入っているんだろう?」という期待感が高まります。お品書きには内容が詳しく書かれていますが、見えない驚きを演出することで、食べ進める楽しみが何倍にもなっています。こうしたユニークな仕掛けは他の駅弁にはほとんど見られず、食べる人の驚きと歓声を誘うポイントになっています。
味わいとボリュームへの高評価
遊び心だけでなく味と満足度にも定評があります。厚焼き玉子は甘さ控えめで大きさがあり、酢飯と合わせてもくどくありません。酢飯に混ざった昆布や海老のそぼろがほのかな旨味を添え、魚介の具材一つひとつの味が際立つバランスの良い味付けになっています。また一食で十分なお腹いっぱい感があるため、長距離の列車旅や旅先でのお昼にもぴったり。食べ応えと違和感のない美味しさが好評で、「また買いたい」と思わせる満足度を生んでいます。
メディア掲載とファンの反響
えび千両ちらしは各種メディアで取り上げられることが多く、それがさらなる注目につながっています。ニュース番組やグルメ番組で「新潟名物」や「駅弁ランキングの常連」として紹介されたり、有名ブロガー・インフルエンサーがSNSで写真を公開したりと、口コミの広がりが飛躍的に人気を押し上げています。実際に購入者から届くお礼状には「想像以上の美味しさ」「見た目の衝撃に感激」「新幹線の旅が特別なものになった」といった声が多く、中には「また新潟に行きたい」とリピートするファンも少なくありません。
まとめ
新潟駅弁「えび千両ちらし」は、厚焼き玉子の下に隠された豪華な海鮮具材と刷新的な演出で、長年にわたって多くの人を魅了してきました。地元で愛される味と万人に嬉しい驚きを備え、テレビやイベントでも評判になったことで全国区の人気を得ています。新潟へ行ったら是非手に入れたい一品であり、新幹線の旅のお供にすると忘れられない思い出になるでしょう。旅行や出張の機会には、ぜひこの名物駅弁で新潟の味わいを体験してみてください。
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