佐渡おけさは佐渡島発祥の盆踊りで、優雅で哀愁を帯びた踊りや16足と呼ばれる独特のステップが特徴です。伝統的な衣装や小道具も魅力です。
この記事では、佐渡おけさの歴史や踊り方、衣装・小道具などをわかりやすく紹介します。最新の祭り情報も交え、佐渡おけさの魅力に迫ります。
目次
佐渡おけさの特徴とは
佐渡おけさは佐渡島で古くから親しまれてきた盆踊りで、他の民謡とは異なる独特な魅力があります。
まず歌詞や音楽には哀愁を帯びた節まわしがあり、踊りは優雅で洗練された振り付けが特徴的です。また「16足」と呼ばれるステップで踊るのが最大の特徴で、独特のリズム感を生み出しています。伝統的な衣装や小道具も組み合わさって、他にはない踊りとなっています。
哀調を帯びた歌詞と独特のリズム
佐渡おけさの歌詞は、佐渡や新潟の風景を詠んだ哀調を帯びた旋律が特徴です。もともと九州のハイヤ節から派生した酒宴歌がルーツで、歌詞には懐かしさや郷愁が感じられます。
この哀愁を帯びた節回しに合わせて、踊り手は穏やかな中にもリズム感のあるステップを踏みます。曲はゆったりしたテンポですが、「ひ~らいて、ひとつ、ひ~らいて、ふたつ」といった掛け声も入るためリズムが生まれます。歌と掛け声が一体となって、独特の躍動感ある踊りが生まれます。
洗練された優雅な踊り
佐渡おけさの踊りは、静かな中にも優雅さと躍動感が同居しています。踊り手は手足を滑らかに動かし、しっとりとした雰囲気を醸し出します。男性は力強い所作で、女性はしとやかで優美なしなやかな動きが魅力です。全体的にゆったりした流れながらも、複数のステップを組み合わせた振り付けは洗練されており、見る人を惹きつけます。
また、踊りには「手まわし」と呼ばれる一連の手の動きがあり、両手を使って扇子や花笠などを小刻みに回す場面も見られます。これらのしなやかな手の動きも佐渡おけさの優雅な特徴の一つです。
「16足」によるステップ
佐渡おけさの最大の特徴は、「16足(じゅうろくあし)」と呼ばれるステップの数え方です。これは踊りのワンポイントごとに1から16まで数え、16番目で一巡(踊りが元に戻る)する方式です。例えば、踊りの掛け声に合わせて以下のように数えます:
- ひとつでホイ
- ふたつでホイ
- みっつ
- よっつ
- いつつ
- むっつ
- ななつ
- やっつ
- ここのつ
- とお
- じゅうし
- じゅうご
- じゅうろく下ろして
- ひとつでホイ(踊り戻る)
16足のリズムに合わせて踊ることで、優雅な中にもリズミカルな躍動感が生まれます。伝統的には踊り始めに「ひとつでホイ」とかけ声をかけ、このカウントに合わせて動作をそろえていきます。
衣装と小道具の特徴
佐渡おけさの踊り手は、伝統的な和装に身を包み、着用する小道具にも特徴があります。特に女性踊り手が頭にかぶる「おけさ笠」と呼ばれる赤や白のリボンがついた編み笠が有名です。
「おけさ笠」はイ草で編まれた笠で、佐渡島の職人が一つひとつ手作りしています。笠にはリボンと顎紐があり、踊り手が被ることで踊りの軽快さと優雅さを引き立てます。
また、扇子や花笠などを持って踊ることもあります。男性は浴衣に扇を持ち、力強い所作で踊ります。衣装全体は落ち着いた色合いでまとめられることが多く、踊りの品位と雰囲気を高めています。
佐渡おけさの歴史とルーツ

佐渡おけさの起源は、九州熊本県の港町・牛深に伝わる「ハイヤ節」だとされています。江戸時代に天草で広まったハイヤ節は、船乗りたちの間で風待ちの酒宴歌として歌われ、各地に伝播しました。そしてその節まわしが佐渡島に伝わり、盆踊りとして定着したものが佐渡おけさのルーツです。
1924年には民謡団体「立浪会」の村田文三がレコードで「正調佐渡おけさ」を紹介し、一躍全国に広まりました。佐渡の金山で過ごす人々にも歌われ、昭和以降は新潟県内の祭りでも踊られるようになります。近年では佐渡おけさ踊り隊の活動が全国的に注目され、新潟まつりの大民謡流しでも演舞されています。
佐渡おけさの踊りとステップ

佐渡おけさでは、16足のカウントに合わせて体を動かす基本ステップがあります。踊り手はつま先で軽くステップを踏みながら手を優雅に振り、「ホイ」の掛け声に合わせて腰を沈める振付も見られます。ステップ自体は大きくなくても、全身を使った動きで踊りのリズムを表現します。
踊りの技術を磨くために、地元ではおけさ踊り教室が行われています。初心者も年配者も一緒になって練習し、16足の数え方や足の置き方、手の振り方を体に覚えさせていきます。こうした教室は佐渡島内外で開催され、伝統が受け継がれています。
佐渡おけさが披露されるイベント
佐渡おけさは主に夏祭りや盆踊りイベントで披露されます。中でも毎年8月に開催される新潟まつりの「大民謡流し」は有名で、佐渡おけさ踊り隊などが参加します。例年は万代町から万代橋にかけて踊りの列が続いています。
2023年の新潟まつりでは、4年ぶりに萬代橋上で佐渡おけさが披露されました。新潟市長と佐渡市長も佐渡おけさ踊り隊に飛び入り参加し、大民謡流しを盛り上げました。
また佐渡島では、夏の盆踊りや佐渡おけさ大会など地域の祭りで佐渡おけさが踊られます。相川地区の盆踊りでは伝統的に佐渡おけさが歌われ続けており、観光客向けの体験教室やイベントも増えています。
まとめ

佐渡おけさは独特の哀調を帯びたメロディーと洗練された踊りが魅力の民謡盆踊りです。16足のステップや「おけさ笠」などの衣装、小道具が特徴で、新潟まつりや佐渡島内の夏祭りなどで伝統を今に伝えています。歴史的には九州のハイヤ節を起源に持ち、佐渡の民謡団体によって広められた経緯もよく知られています。これらの特徴を知れば、踊りをより深く楽しむことができるでしょう。
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